【7月27日 東方新報】国立競技場(Japan National Stadium)で23日夜に行われた東京五輪の開会式について、中国メディアが称賛している。コロナ禍で行われる五輪の意義を訴え、日本社会の多様性を表現していたと積極的に評価している。

 中国の代表的通信社・中国新聞社(CNS)は、開会式を詳細に報道。「アスリートがたった1人で練習しているシーンから始まった。これは、コロナ禍で世界が分断されている現状を表している。そして最後には人々が一つとなり、新型コロナウイルスを乗り越えようとする世界の人々のたくましい姿を再確認させた」。新型コロナウイルスの犠牲者や過去に大会で命を落とした五輪関係者への黙とうについても「涙を誘い、全世界が生命への敬意を示した沈黙の瞬間だった」と感情を込めて伝えている。

 ジョン・レノン(John Lennon)さんの「イマジン(Imagine)」に合わせて1824機のドローンが地球や東京五輪のエンブレムを夜空に浮かび上がらせた演出は「『五輪は世界を一つにする光である』というコンセプトが輝いている」と表現した。

 聖火台に点灯する最終聖火ランナーとなった大坂なおみ(Naomi Osaka)さんについては「父親がハイチ人、母親が日本人で幼い頃からアメリカでテニスに励み、中国の李娜(Li Na)選手に続きアジア人でグランドスラムシングルス優勝を果たした」と説明。彼女を最終ランナーに選んだことは、「日本の開放性と寛容性を反映したものであり、日本が推進する自立と自力更生の精神に沿ったものだ」とたたえている。

 中国共産党機関紙・人民日報(People’s Daily)系の環球時報(Global Times)は、東京での感染拡大が五輪の不安材料としつつ、「開会式は順調に行われた。新型コロナによる困難に対処するため、日本は多くの措置をとっている」と紹介。日ごろは西側諸国に強硬な意見が多い同紙が、日本の取り組みを前向きに評価した。

 また、中国メディアとインターネット上の書き込み両方で評判が良かったのは、五輪の競技種目を表す絵文字「ピクトグラム」を人が表現した演出だ。中国では日本のテレビ番組「欽ちゃんの仮装大賞(現:欽ちゃん&香取慎吾の全日本仮装大賞)」が「超級変変変」というタイトルでかつて放映されており、知名度は高い。

 SNSの「微博(ウェイボー、Weibo)」や「微信(ウィーチャット、WeChat)」では「家族で見た仮装大賞の五輪版だ。青春時代を思い出す」「独創的でとても日本らしい」という書き込みがあふれ返った。入場行進のメロディーも「おお、ドラクエ(ドラゴンクエスト、Dragon Quest)のテーマ曲!」「ファイナルファンタジー(Final Fantasy)だ。さすが日本」と絶賛し、海の向こうから五輪開催にエールを送っていた。(c)東方新報/AFPBB News