【7月26日 東方新報】アジア開発銀行が(ADB)は7月20日に発表した「2021年版アジア経済見通し」の報告の中で、2021年の中国経済成長率を8.1%と予測した。国連経済社会局(UNDESA)が今年5月に発表した「世界経済状況・予測」での8.2%と比べてやや低いものの、インドの7.5%を上回り、世界の主要国で最も高い数字だ。実現すれば、2011年以来、10年ぶりに8%以上の経済成長を実現する。

 中国の経済は2020年、コロナ禍の影響で生産活動は一時ストップし、個人消費も低迷して、第一四半期の経済成長率はマイナス10%を記録した。当時、「急回復の可能性は極めて低い」「中国の高度経済成長はついに終わった」と言った分析も見られた。しかし、同年の第2四半期になってから、政府が主導する強力なコロナ対策が奏功して感染拡大が抑えられ、経済活動が再開すると、景気は徐々に回復した。

 結局、2020年通年の経済成長率は2.3%となった。1978年に始まった改革開放以降で、最も低い数字だが、プラス成長を維持した。一方で、コロナウイルスが世界を席巻したため、主要各国は同年、軒並みマイナス成長を記録し、米国はマイナス3.5%。日本はマイナス4.8%。ドイツはマイナス4.9%だった。

 2021年になると、中国国内でワクチンの接種が拡大したこともあり、生産・消費活動はさらに活発化した。政府が実施した一部の負担軽減や、雇用拡大政策などの影響もあって、第1四半期のGDPは前年比プラス18.3%を記録し、四半期の公式統計を開始した1992年以降で最大の伸びとなった。

 2021年夏以降、中国の主な輸出先である米国や欧州などでワクチンの普及に伴って個人消費がさらに回復する傾向にあり、輸出は引き続き好調とみられる。同時に、中国国内の消費・投資の成長の改善傾向が続き、通年で8%の大台に乗ることはほぼ確実とみられる。

 しかし一方、「2022年以降の経済成長を不透明だ」と指摘する声もある。2021年高成長はあくまでも前年の低成長を背景に実現した数字であり、コロナ禍の直撃を受けた経済の回復が一段落したあと「次の経済成長の主な柱はまだ見えないことが大きな課題だ」と指摘する専門家もいる。また、米中関係の悪化や米国の金融政策の転換などに影響される可能性もあり、中国経済にとって、外部の不確実性が増大していることが大きな懸念材料であることは否定できない。(c)東方新報/AFPBB News