【7月21日 AFP】新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)で1年延期された東京五輪の開幕が迫る中、世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長が21日、パンデミックに歯止めをかけることに「世界は失敗している」と話した。

 東京都内の高級ホテルで行われた国際オリンピック委員会(IOC)の総会でスピーチを行ったテドロス氏は、東京五輪がパンデミックで疲弊した世界への「希望のメッセージ」になってほしいと語った上で、ワクチン供給の不均衡は危機を悪化させると話した。

「パンデミックという試練に対して世界は失敗している。400万人以上が命を落とし、死者数はこれからも増え続ける。今の時点ですでに今年の死者は昨年の2倍以上になっている」

「全世界で収束するまで、どこの場所でも脅威が去ることはない。パンデミックが終わったと考える者は、夢の世界で現実を直視せず生きている」

 テドロス氏は、マスクをしてソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)を守った参加者に向けて、マスクなしで語りかけ、スピーチの終わりにはIOCのトーマス・バッハ(Thomas Bach)会長から聖火リレーのトーチを手渡された。

 2022年中ごろまでに世界人口の7割のワクチン接種を終わらせるという目標を繰り返したテドロス氏は、「今年はお祝いムードは控えめかもしれないが、だからこそ希望のメッセージは重要だ」と話し、「今回の五輪が世界をつなげ、団結力と決意を高めてパンデミックをともに終わらせるきっかけになってほしい」と続けた。(c)AFP/Talek HARRIS