「人類を代表して」五輪自転車競技に臨む アフガン難民の女子選手
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■見知らぬ人からの暴力
予想もしていなかったのは、アフガニスタンで自転車に乗っていると、見知らぬ人から暴力を受け、時には石を投げられ、身内からも反対され、暴言を浴びせられることだった。
「大変なのは分かっていましたが、まさか殴られるなんて」とアリ・ザダは振り返る。「自転車競技を始めて1年目、知らない男に殴られました。相手は車に乗っていて、追い越しざまに後ろから」
「自転車競技をやっていた女子のほとんどが、似たような経験をしています。嫌がらせを受けているんです」
アフガニスタンでスポーツウエアを着ていると、男性でも何かしらのトラブルに巻き込まれたが、女性にとっては常に「危険」が待ち構えていた。アリ・ザダは、姿が見えないように男子のチームメートに囲まれながら走ったという。
だが、レースに勝ち続けているうちに知名度も上がった。それに伴い、自転車に乗るのをやめさせようとする圧力も強まり、叔父たちもそれに加わった。
結局、家族で2017年にアフガニスタンを離れ、フランスで難民認定申請を行った。
「自分の国を出なきゃいけないのは、とてもつらいことです。でも他に道はありませんでした。難民なら、この気持ちは分かると思う」
フランス北部の都市リール(Lille)で土木工学を学び始めて2年。学業と自転車競技を両立させている。
「自分の居場所はまだ見つかっていませんが、常にベストを目指して頑張っています」