【7月15日 AFP】欧州連合(EU)は14日、温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を2050年までに達成する目標実現に向け、包括的な政策案を発表した。電気自動車や燃料価格をめぐり、欧州議会(European Parliament)や加盟国間で、業界団体や環境団体を巻き込んだ激しい駆け引きが今後数年間にわたり展開されそうだ。

 政策案には、2035年からガソリン車の新規販売を事実上禁止するという大胆な措置が盛り込まれた。自動車ロビー団体は即座に「合理的ではない」と反発。政策案を発表した欧州委員会(European Commission)のフランス・ティメルマンス(Frans Timmermans)執行副委員長は、「きょう発表された政策はどれも一筋縄ではいかない。ひどく困難なものになるだろう。それは分かっている」と語った。

 計画の中核を成す目標として、2030年の温室効果ガス排出量を1990年比で55%減とすることが掲げられており、政策案は「フィット・フォー・55(Fit for 55)」と銘打たれた。もう一つの柱は「国境炭素税」の導入で、これをEU域外の企業に課すことで、環境への配慮に欠く製品が不公平な優位性を得ないようにする狙いがある。

 このほか、航空業界からの大きな反発が見込まれる政策案として、EU域内のフライトに対する航空燃料税の導入も発表された。これに関しては、観光業に頼るスペインやポルトガル、ギリシャが弱体化を試みる見通しだ。(c)AFP