【7月16日 CNS】上海市人力資源・社会保障局は7月1日から、最低賃金基準を引き上げた。月額の最低賃金を2480元(約4万2373円)から110元(約1880円)増の2590元(約4万4252円)とし、時給の最低賃金も22元(約375円)から23元(約392円)に上げた。

 全国的には今年に入り、上海市、北京市、天津市(Tianjin)、江西省(Jiangxi)、黒竜江省(Heilongjiang)、陝西省(Shaanxi)、新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)、チベット自治区(Tibet Autonomous Region)の少なくとも8地域で最低賃金基準が引き上げられ、多くの労働者が恩恵を受けることになる。

 最低賃金基準が高いのは上海市、北京市、広東省(Guangdong)、天津市、江蘇省(Jiangsu)、浙江省(Zhejiang)で、いずれも月額最低賃金基準は2000元(約3万4270円)を超えている。トップは上海市の2590元。

 上海市人力資源・社会保障局の担当者は「上海市の月額最低賃金基準には、労働者が個人で支払う社会保険料と住宅積立金は含めず、雇用機関が代わりに支払うものとする」と説明。さらに残業代や深夜勤務手当、夏季の高温手当、有毒・有害な特殊労働環境下での勤務手当、食事手当、通勤手当、住宅手当も月額最低賃金基準に含めず、雇用主が別途支給するよう定めた。

 最低賃金の基準は「最低賃金規則」に基づき、少なくとも2年に1回は調整することが求められている。上海市の調整は2年3か月ぶり。人力資源・社会保障局は「低所得世帯の生活費、消費者物価指数、経済発展の度合い、企業の人件費、市の平均賃金水準を考慮し、企業の支払い能力と労働者の権益を総合的に考えた」と説明している。

 華南師範大学(South China Normal University)政治・公共管理学院の孫中偉(Sun Zhongwei)教授は「最低賃金の引き上げにより、第一線の労働者から基本給と残業代のベースの引き上げが広がっていく」と分析。中国銀行法律事務所シニアパートナーの楊保全(Yang Baoquan)弁護士は「最低賃金の引き上げは低所得層の収入増をもたらし、所得格差の縮小、社会の安定維持につながり、雇用者の不当な賃金未払いを防止する」と語っている。(c)CNS/JCM/AFPBB News