【7月16日 AFP】23日に開幕する東京五輪に出場するアスリートたちは、選手村の外をほとんど目にすることはないだろう。厳しい新型コロナウイルス対策により、練習と競技目的以外、同施設から出ることはできない。

 選手村での滞在期間も通常の大会より短くなる。入村できるのは自分の競技が始まるわずか5日前。競技後は、2日以内に退去しなければならない。

 東京大会に向けて13日、臨海エリアにオープンした「小さな街」。そこでの典型的な一日をのぞいてみよう。

■午前6時半

 選手村では選手やコーチ、関係者ら最大1万8000人が寝泊まりできる。東京の日の出は午前4時40分と早いが、しっかり休めるよう、窓には分厚い遮光カーテンが掛けられている。

 ただし多くの日本家屋と同様、生活空間は広くない。シングルルームは9平方メートル、ダブルルームは12平方メートルだ。

 ベッドや間仕切り壁は、頑丈で再生可能な段ボール製。けれど、お隣さんがいびきをかいたら、快適さはいまひとつかも……。これらは大会後に取り払われ、21棟の宿泊施設はぜいたくな造りの住宅に改装される。

■午前7時

 日課のコロナウイルス検査の時間。選手村に宿泊する全員に義務付けられている。自分で唾液を採取し、サンプルを提出する。

 この結果が陽性だった場合、より精度が高いPCR検査を受ける。それもまた陽性の場合、「発熱外来」に回される。村の中心部にある小さなプレハブの建物だ。

 発熱外来で3度目の検査を行う。結果次第では大会からの離脱が決まり、隔離または入院措置が取られる。

■午前7時半

 マスクは忘れがちだ。特に早朝は……。それでも選手村では、寝る時と食べる時以外、マスク着用が義務付けられている。

 朝食へ向かう途中、アスリートは携帯アプリを使って、メインダイニングホールなど共用施設の混み具合をチェックできる。同ホールは2階建て、3000席と広大だ。

■午前8時

 選手村では、飛沫(ひまつ)感染を防ぐため、1人で食事をするよう通達されている。各席はアクリル板で仕切られている。

 食事のメニューは多種多彩で、伝統的な和食も充実している。ベジタリアンフード、イスラム教の戒律にのっとったハラル食、グルテンフリー食などあらゆる食の嗜好(しこう)に対応。栄養価も明示されている。

■午前9時

 選手らは、600台の機器を備えた広々としたジムでトレーニングできる。

 汗ばんでもマスク着用は必須だ。機器は頻繁に消毒されるが、使う前に自分で消毒することが勧められている。

■午前11時

 公共交通機関の利用や選手村から出歩くことは禁止されているため、選手らは専用バスに乗って各競技・練習会場へ移動する。