スーパースプレッダーの大会に? 懸念高まる欧州選手権
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【7月2日 AFP】サッカー欧州選手権(UEFA Euro 2020)の閉幕に向けて、より多くの観客がスタジアムで観戦する中、新型コロナウイルスのデルタ株によって欧州各地で感染者数が増加しているため、大会がたくさんの人を感染させてしまうスーパースプレッダーのイベントになってしまうのではないかという懸念が高まっている。
欧州中でワクチン接種が急速に進み、人々もバカンスシーズンを心待ちにしているという状況で、今大会の試合が大観衆の前で行われ、街にも大勢の人が集まっている様子は、生活が日常に戻りつつあることの表れであると考えたくなる。
しかし、デルタ株が特に猛威を振るっている英ロンドン、ロシア・サンクトペテルブルク(St. Petersburg)の2都市で今後予定されている試合についてはとりわけ懸念がある。
スイス・ジュネーブ大学(University of Geneva)のグローバルヘルス研究所(Global Health Institute)所長で、疫学者のアントワーヌ・フラオー(Antoine Flahault)氏はAFPに対し「欧州中にデルタ株を広めたいならこれがその手段になる」とコメントした。
ロシアでは新型ウイルスの新規感染者数が急増し、1日あたりの死者数も最多となるなど対応を迫られているが、2日に予定されているスペインとスイスの準々決勝はサンクトペテルブルクで行われることになっている。
また、ロンドンのウェンブリー・スタジアム(Wembley Stadium)で開催される準決勝と決勝では、6万人以上の入場が認められている。
デルタ株の感染者数は英国でも急カーブを描きながら増加しているが、それでも英当局は先月29日に行われたイングランド対ドイツの決勝トーナメント1回戦で規制緩和を止めなかった。
9万人収容のウェンブリーには約4万2000人が押し寄せドイツ戦を観戦したが、マスクを着用していないイングランドサポーターが熱狂的に勝利を喜んでいる姿には驚きの声もあった。
フラオー氏は、ウェンブリーで予定されている試合は他の会場に変更されるべきだと考えており、「これらの試合の会場をリスクがあまり高くない都市に変更するのは、それほど難しくなかっただろう」と述べた。
しかし欧州サッカー連盟(UEFA)は、いかなる試合の会場変更も検討していない。(c)AFP/Jerome RASETTI