■構図全体が変化

「単純に模写を引き伸ばして『夜警』の脇に据えただけでは、合致しないでしょう」。復元プロジェクトを率いた同美術館の上級研究員ロバート・アードマン(Robert Erdmann)氏はAFPに語った。

 同氏は三つのニューラルネットワーク(脳の神経回路網を模した数理モデル)を使い、コンピューターに原画と模写の情報を学ばせ比較させた。そしてコンピューターがレンブラントの技法を習得した上で、欠損部分の再生に取り掛かった。コンピューターの模倣力は見事で、「夜警」の表面の細かいひび割れまで再現したという。

 復元された図像はキャンバスに印刷され、ニスを塗布。それからメタルフレームで額装がされ「夜警」の四方に据えられた。

 修復された名画を見て「それはいい気分がしました」とアードマン氏。「本当に構図全体が変わりました」

 復元の結果、黒衣の隊長と白い制服姿の副官が横にずれ、美術専門家は警備隊の動きを目にすることができるだろう。一方、左脇に復活した人物らは、絵に深みと遠近感を与えている。

「とにかく、レンブラントは私たちを驚かし続けてくれます」とディビッツ館長が言う。「まさかということが現れ続けるのです」 (c)AFP/Danny Kemp