■復元の手掛かりは模写

 この絵は、当時アムステルダムの市長で、市民による自警団長でもあったコックに依頼されて、レンブラントが自警団の幹部やメンバーを描いたものだ。

 自警団の集会所に73年間飾られた後、1715年に市庁舎に移されたが、その際、二つのドアの間のスペースに収まるよう切断されたという。「絵を移動した人々は、実にはさみを手にして四方を切り落としてしまいました」とディビッツ館長。切断された部分は一度も見つかっていない。

「夜警」はそれから何度も災難に遭っている。1911年には男にナイフで突き刺され、ナチス・ドイツ(Nazi)のオランダ侵攻時には地下壕(ごう)に隠された。1975年には再びナイフで切りつけられ、さらに1990年には酸を吹きかけられた。

 今回、復元の手掛かりとされたのは、17世紀に画家ヘリット・ルンデンス(Gerrit Lundens)が破損される前の「夜警」を見て描いた模写だ。

 ただし、模写は原画と比べはるかに小さく、描画法や色調がいくぶん異なり、視角もわずかに違っていた。

 この模写をAIが解析し、失われた部分を見事に復元。よみがえった図像はパネルに印刷され、「夜警」の四方に据え付けられた。