日本の海岸で見られる海藻、南仏沖で繁殖 外来種として駆除へ
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【6月26日 AFP】日本の沖合などを本来の生息域とし、打ち上げられた浜で有毒なガスを発生させる恐れのある海藻が、観光客の人気を集めるフランス南部マルセイユ(Marseille)付近の地中海沿岸に広がっている。
緑褐色の海藻、フクリンアミジ(学名:Rugulopteryx okamurae)は、岩場や浜辺に打ち上げられると分解して悪臭のある硫化水素が発生するため、健康上のリスクとなる。硫化水素は、高濃度で吸引した場合には、死亡することもある。
カランク国立公園(Calanques National Park)の広報担当者はAFPに対し、最近、フクリンアミジが地域の生態系を乱していることが分かったと説明。同公園の浜辺は急斜面に囲まれた狭い入り江の間に位置しており、観光シーズンの最盛期には毎日数千人が訪れる。
フクリンアミジは、マルセイユの西に広がる地中海沿岸のコートブルー(Cote Bleue)地区でも見つかっている。
地中海海洋研究所(Mediterranean Institute of Oceanography)の研究者、ティエリー・ティボー(Thierry Thibault)氏によると、マルセイユの約200キロ西にある潟湖のトー湖(Thau Bassin)には、2008年からフクリンアミジが生息していたという。
同氏は、トー湖のウニを食べた人が、フクリンアミジが付着していた殻を海に捨てたことで分布が広がった可能性があると指摘する。
マルセイユ当局によると、状況は対処可能であり、フクリンアミジを根絶する最適な方法を決める分析が進められているという。
マルセイユ市で海洋生物多様性保全を統括するエルベ・モンション(Herve Menchon)副市長は、「現時点では人体に危険はないが、ガスの濃度が高くなり過ぎればビーチを閉鎖する必要がある」と述べた。(c)AFP