【7月8日 AFP】気候変動の影響で「かつて例がないほど」大量発生した藻によって、米国の山岳地帯の澄んだ湖が緑色に変わる現象が起きている。

 米コロラド州立大学(Colorado State University)のチームが7日、英学術専門誌「英国王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society B)」に発表した研究結果によると、同州デンバー(Denver)から約100キロ離れた山岳地帯にある2か所の湖で、藻の密度が過去70年間で倍以上に増加。気候変動が手付かずの辺境地の生態系に危害を加える可能性を強調した。

 論文の主著者である同大のイザベラ・オレクシー(Isabella Oleksy)氏はAFPに対し、「保護区の中にある比較的へき地の湖でさえ、人間が地球システムを混乱させていることの影響が明らかだ」と述べた。

 オレクシー氏によると調査で記録された藻の量は、山岳地帯の手付かずの環境下ではなく、農業排水などで高度に汚染された地域で通常記録される水準だったという。同氏は「われわれはコロラド州の2か所の湖でこれらの変化を記録したが、この変化は他と孤立した現象ではない可能性が高い」と述べた。

 研究チームは証拠が決定的ではないことを認めつつも、気候変動によってリンや窒素などの養分が過剰に蓄積し、藻の大量発生を引き起こしていると指摘する。

 米環境保護庁(EPA)は公式ウェブサイトで、湖や海で藻類が繁殖すると、それを摂取した野生動物に危害を加え、また、日光を遮断することで水生環境の安定性を損なうと警告している。藻類の繁殖は漁業や観光など経済的な打撃や、人体にも悪影響を及ぼす。(c)AFP/Phineas RUECKERT