【6月27日 東方新報】中国でキャンピングカーの需要が急激に伸びている。保有台数は2015年の3万台から2020年には21万8000台に達した。新型コロナウイルス感染症の拡大で通常の観光旅行を避ける人が、キャンピングカーを使った自由旅行を頼んでいる。

 5月上旬の労働節の連休中、中国西北部の寧夏回族自治区(Ningxia Hui Autonomous Region%)では、キャンピングカーで砂漠や草原の観光、さらに夜は満天の星空鑑賞など、大自然を謳歌(おうか)する旅行者でにぎわった。2018年に定年退職をしてからキャンピングカーを購入したという姫建平(Ji Jianping)さんは「妻や孫と一緒にこれまでに中国の20都市以上とラオスやベトナムにも行っています。時間がたっぷりある高齢者には、自由気ままな車の旅がぴったりです」と笑みを浮かべる。

 中国では新型コロナウイルスの拡大以降、電車やバスに乗る際に自分の健康状態を表すスマホアプリ「健康コード」の提示を求められ、高速鉄道や飛行機で省をまたいで移動する際は自治体の健康証明書が必要になるなど、制約される日々が続く。新型コロナの抑制により旅行は復活しているが、移動中や観光地で「3密」になる恐れもある。そこでキャンピングカーによる旅行者が増えている。

 寧夏回族自治区のように経済発展が遅れているが観光資源が豊富な地域は、キャンピングカーによる旅行客を引き入れようとしている。中国南部の貴州省(Guizhou)は、トイレやシャワー、調理設備などを備えたキャンプ基地の増設に努めている。キャンプ基地を運営する厳玉宏(Yan Yuhong)さんは「新型コロナの影響で、都会を離れて自然を楽しみたい方が増えている。連休前が近づくとすぐ予約でいっぱいになります」と話す。

 中国南部のリゾート地・海南島(Hainan)もキャンプ地を次々と増やし、ロッククライミングやパラグライダーなどのレジャーと組み合わせている。李堅(Li Jian)さんは「キャンプ地のログハウスにはキッチンも冷蔵庫もある。計算すると、通常の旅行より格安で旅行が楽しめている」と語る。

 中国政府の指針「観光発展の加速に関する意見」では、「新たなキャンプやレジャーの観光方法を促進し、キャラバン型観光産業を奨励していく」と明示している。コロナ禍による景気低迷や米国との貿易摩擦が続く中国は、内需拡大を通じて経済の停滞を克服しようとしている。キャンピングカー観光の隆盛は、新型コロナウイルスの拡大を抑えつつ、国内消費を活性化させる新たな産業法として期待されている。(c)東方新報/AFPBB News