【9月25日 東方新報】中国で新型コロナウイルスが収束を迎える中、10月1日の国慶節(建国記念日)から8日までの大型連休に合わせ、今年初めての旅行ブームがわき起こっている。長期の「巣ごもり生活」から解放された市民の「リベンジ消費」をあてこんで、各地の観光地や旅行会社もあの手この手のサービスを考え、「奪い合い」の状態となっている。

 中国の祝日は1~2月の春節(旧正月、Lunar New Year)、4月の清明節、5月の労働節、6月の端午節、9~10月の中秋節、10月の国慶節がある。国慶節の連休は1週間だが、今年は中秋節が重なって8日となった。新型コロナウイルスのため9か月間身動きが取れなかった市民にとって、今年は国慶節が最初で最後の旅行チャンス。海外旅行はまだ解禁されていないため、「国内大移動」が予想されている。旅行サイトによると、国慶節期間中の主要フライトの予約は前年の2倍を超え、各地の主要ホテルは次々と予約が入っている。

 そんな中、全国各地の自治体が観光名所やテーマパークなどのチケットの無料化や大幅割引を実行している。例えば西安市(Xi`an)では、保存状態が良い中国最古の城壁「西安城墻」など53か所の観光地の入場料を無料にした。蘇州市(Suzhou)は「東洋(とうよう)の斜塔」といわれる虎丘や世界遺産に登録されている庭園・拙政園などの入場料をわずか1元(約15円)にした。8月1日から12か所の観光地を入場無料としている青島市は、8月の観光客や収入が大幅に増加。入場料を無料にしても観光客は宿泊や食事、ショッピングを通じて地元に金を落としており、「損して得取れ」作戦が成功している。

 また、4000社を超える旅行会社がオンラインでさまざまなツアープランを売り出している。新型コロナへの警戒感は依然あるため、ツアー客の検温や旅行先の衛生面を保証する「安全・安心ツアー」をアピール。中国で観光客の主流となっている20代をターゲットに、「赤ちゃん同伴歓迎」「ペット同伴歓迎」というツアーやホテルもある。8連休に有給休暇を足して10連休以上取る人々向けに複数の省をまたぐ大型旅行ツアーや、人との接触を減らすためキャンピングカーでの「放浪旅行」やペンションを貸し切りするプランも多い。

 空前の旅行熱と観光地や観光会社の過熱ぶりに、「観光客が各地に殺到してちゃんと名所を観光できなかったり、適切なサービスが受けられなかったりするのでは」という不安の声も出ている。果たして、誰にとっても「ウインウイン」となる大型連休になるかどうか。(c)東方新報/AFPBB News