代替肉の肉まん、ギョーザ、春巻… 中国で広まる「植物肉」
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【6月25日 東方新報】中国で「植物肉」といわれる代替肉が広まりつつある。有名料理店やファストフード、コンビニなどで次々と新メニューが登場している。
中国では仏教や道教の影響で、古くから「素食」という文化がある。肉や魚、卵、乳製品のほか、にんにく、ねぎ、玉ねぎ、らっきょう、ニラの「五葷(ごくん)」を食べない中華式ベジタリアンだ。近年は健康志向や環境保護、動物愛護の観点から素食家が増え、5000万人に上るという推計もある。
植物肉は大豆やエンドウ豆などから植物性タンパク質を抽出し、それを原料として加工して動物性肉製品に似た味と食感を再現したもの。中国では国内メーカーの斎善食品、鴻昶食品、米国のビヨンド・ミート(Beyond Meat)などが知られ、近年は「星期零(Starfield)」「植愛生活」「珍肉(ZhenMeat)」などのスタートアップ企業も誕生。植物肉事業に参入している企業は5000社を超える。
中国メディアによると、老舗ハムメーカー「金字火腿」は2019年から植物肉を使ったハンバーガーパティを販売。「星期零」は人気のティードリンクチェーン「奈雪の茶(NAYUKI)」との提携で植物肉バーガーを店舗で販売している。2020年にはスターバックス(Starbucks)がビヨンド・ミートと提携して植物肉のメニューを取り入れ、マクドナルドは植物性の朝食用ミート、ケンタッキーフライドチキン(KFC)は植物性のチキンナゲットを販売している。フランス系スーパー・カルフール(Carrefour)は植物肉のギョーザや春巻き、ファミリーマート(Family Mart)では電子レンジで調理できる植物肉のパニーニやパスタが店頭に並んでいる。
有名料理店でも植物肉のメニューが登場している。上海の老舗素食料理「松月楼」は植物肉を使った肉まんを販売。火鍋料理チェーン大手「海底撈(Haidilao)」は上海市の約30店舗で試験的にメニューに植物肉を取り入れており、植物性のスープの素も販売する予定だ。
2019年設立の新興企業「妙鮮」は、病院食に植物肉を取り入れるテスト事業を進めており、1000か所の医療機関とパートナーシップを結んでいる。2020年12月には中国食品科学技術学会が植物性肉製品の基本条件や包装、輸送、保管について規定を発表。ルールを整え、植物肉はさまざまな市場に広がりつつある。
植物肉は、都市部に住んで収入が高く、健康を重視し環境問題や動物保護の意識が高い人が好んでいるという。中国の植物肉市場は2019年に5年前の2倍にあたる70億元(約1193億円)に達し、中国のシンクタンクによると、2025年には中国の植物肉の市場規模は150億元(約2557億円)に達するという。
一方で、「植物肉は味が物足りない」「通常の肉より高い」という声が多く、大きなブームになっているとは言えないのが実情だ。
「植愛生活」の陳瑞栄(Chen Ruirong)CEOは「植物肉市場は味・食感の問題と、コストパフォーマンスの問題がある。本物の肉より高ければ、興味本位で食べても再び買う人は多くない。この2つの問題を解決してこそ植物肉が国内で普及するが、それにはまだ時間がかかる」と話す。「珍肉」の呂中茗(Lv Zhongming)CEOも「国内の植物肉市場はまだ初期段階にあり、消費者向け商品に発展させるには長い育成期間が必要である」と述べている。(c)東方新報/AFPBB News