■外国メディアの移転

 AFPを含め多数の国際メディア企業は、香港に地域本社を置いてきた。香港の「小憲法」に刻まれたビジネスに有利な諸規則と言論の自由に引き付けられてのことだ。

 だが多くの外国メディアは今、香港での未来に疑問を持ち始めている。

 昨年の国安法成立後、米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)はアジア拠点を韓国へ移した。米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)がアジア拠点として選んだのも韓国だ。他社も緊急時対策を用意している。

 蘋果日報は、所有者の黎智英(ジミー・ライ、Jimmy Lai)氏が服役中で、さらに幹部5人が逮捕され、資産の大半が凍結された現在、いつまで存続できるのか不明だ。

 英ロンドン大学(University of London)東洋アフリカ研究学院(SOAS)で中国研究院の代表を務めるスティーブ・ツァン(Steve Tsang)教授は「蘋果日報にとって不吉な前兆だ」と語る。

 ツァン氏は「蘋果日報への家宅捜索や逮捕について、公式にはどんな理由を付けようと、香港で発行を続けられなくすることが、真の目的だと思う」と指摘した。(c)AFP/Jerome TAYLOR