【6月21日 AFP】トランスジェンダーの重量挙げ選手、ローレル・ハバード(Laurel Hubbard、ニュージーランド)が21日、東京五輪の代表メンバーに選出され、五輪に出場する初めてのトランスジェンダー選手になることが決まった。

 ニュージーランドオリンピック委員会(NZOC)のケレイン・スミス(Kereyn Smith)氏は、「スポーツの世界で、性自認が人権と競技の公平性のバランスを要する極めて繊細かつ複雑な議題なのは理解している」としつつ、ハバードがトランスジェンダー選手の出場基準をすべて満たしたため、代表に選出したことを明かした。

 現在43歳のハバードは、出生時の性別が男性で、以前は男性として競技に臨んでいたが、30代で女性に性転換した。今回は国際オリンピック委員会(IOC)が定める基準を満たしたため、五輪出場資格を獲得し、現在世界ランキング15位に位置している女子87キロ超級に出場する。

 IOCはトランスジェンダー女性について、男性ホルモンのテストステロン値が1リットル当たり10ナノモル未満であることを条件に出場可能だと規則で定めており、ハバードはこの基準を満たしている。

 しかし男性として成長してきたハバードには肉体的に有利な部分が多くあり、女性として生まれた選手たちに交じって出場するのは不公平だという批判の声もある。

 ハバードは自分のことをほとんど話さない選手で、メディアの取材には応じず、今回NZOCが出した発表文の中でもジェンダー問題に関する言及はしなかった。(c)AFP