【6月12日 AFP】米国で11日、ザトウクジラにのみ込まれたものの生還したロブスター漁師が、その驚くべき体験を語った。

【写真】 アシカがクジラの口に! カメラマンが捉えた「一生に一度」の瞬間

 危機一髪の生還を果たしたのはマイケル・パッカード(Michael Packard)さん。その数時間後、「閉じたクジラの口の中に30~40秒ほど入っていた。クジラは水面に上がり、私を吐き出した」とフェイスブック(Facebook)に書き込んだ。「ザトウクジラが私を食べようとした」 「ひどくけがをしたが、骨は折れていない」

 パッカードさんが地元紙ケープコッド・タイムズ(Cape Cod Times)に語ったところによると、マサチューセッツ州の沿岸で海に潜ってロブスターを捕っていた時、大きな口のクジラに遭遇した。

「突然、強く押された感じがした。次の瞬間には真っ暗闇の中にいた」と、退院後にパッカードさんは語った。

 クジラは体長10メートルほど。当初パッカードさんはサメに襲われたと思ったが、歯がなかったことと、自分の体に一目で分かるような傷を受けなかったことから、サメではないと思い直した。

 パッカードさんがもがき始めると、「光が見え、クジラが頭を左右に振り始めた。次の瞬間、私は外(水中)に出ていた」という。

 同紙によると、パッカードさんの仕事仲間、ジョサイア・メイヨー(Josiah Mayo)さんが、「クジラが上がって来て爆発のような水しぶきが上がり、パッカードさんが吐き出された」のを見たという。

 同紙には、メイヨーさんが語った内容を裏付ける証言は載っていないが、マサチューセッツ州プロビンスタウン(Provincetown)の沿岸研究センター(Center for Coastal Studies)でザトウクジラ研究のディレクターを務めるジューク・ロビンス(Jooke Robbins)氏は、この話を疑うべき理由はないと語る。

 ロビンス氏は、「ほら話ではないと思う。今回の出来事に関係した人たちは私の知人で(中略)私にはこの人たちが話す内容は事実だと信じるあらゆる理由がある」と話し、「クジラが獲物を捕る時は(中略)前に突進して口を開け、魚と水を一気にのみ込む」と説明。クジラは口は大きいが喉が狭いので、人間をのみ込むことはできないだろうと指摘した。

 ロビンス氏は、今回の一件は細かい点にまだ明らかになっていないこともあるが、一つだけはっきりしていることがあると言う。「十分に注意することが重要だ。そして、クジラを見たらしっかりと距離を保つこと。クジラに十分なスペースを与えることが非常に重要だ」 (c) AFP/Catherine TRIOMPHE