【6月11日 AFP】英政府機関「教育水準監査院(Ofsted)」は10日、インターネット上のセクシュアルハラスメントが今やありふれたものとなる中で、英国の学校は生徒たちを本人の望まない性的な写真や動画、投稿から守れていないとする調査報告書を発表した。

 32校の900人を超える生徒らの証言に基づいた報告書について、ギャビン・ウィリアムソン(Gavin Williamson)教育相は、「非常に懸念すべきことだ」とツイッター(Twitter)に投稿した。

 Ofstedは、大きな問題であるにもかかわらず、校長や教員らは「オンライン上で横行する性的虐待を徹底的に過小評価していた」と指摘している。

 調査対象校には、英国内の学校での性的虐待・セクハラ体験を匿名で告発するウェブサイト「エブリワンズ・インバイテッド(Everyone's Invited)」に報告があった学校も含まれている。このサイトは、私立のトップ校出身で大学を卒業して間もないソーマ・サラ(Soma Sara)さんが今年3月に立ち上げたもので、既に1万5000件以上の証言が寄せられ、英政府もこの問題に注目している。

 Ofstedは、「子どもたちの話によれば、セクハラ体験は頻繁すぎて『当たり前』になっている」とした上で、ここまで横行している以上、生徒から教師に報告があろうとなかろうと、学校側はセクハラが起きていると考えるべきだと述べている。

 また、「セクハラやオンライン性的虐待の中には、子どもたちにとって日常的すぎて、わざわざ報告したり異議を唱えたりする気にならないものもある」とも指摘している。

 調査では、自分や同級生に望まない性的な写真や動画が定期的に送られてくると回答した生徒が、女子で約90%、男子でも約50%に上った。また、女子の92%が悪口として「性差別的な罵倒」を頻繁に浴びせられていると答えた。

 セクハラには、ポルノ動画や男性器の写真をソーシャルメディアで共有する行為も含まれていた。これらの被害に遭ったと答えた生徒は、16歳以上が多かった。

 Ofstedは、性教育の授業の中で性的同意やヌード画像の送信などについて議論すべきだと提言している。一方で、子どもたちがポルノを見せられたり裸のセルフィー(自撮り写真)を送れと迫られたりするのは「学校側が対処できる範囲を超えた広範な問題だ」として、英政府が策定中のネットの安全性を高める法案で生徒らの保護に重点を置くよう求めた。(c)AFP