【6月9日 AFP】中国東部江蘇(Jiangsu)省で、学位の価値が下がることを懸念した南京師範大学中北学院(Nanjing Normal University Zhongbei College)の学生数千人が抗議デモを行い、学長を人質にとった。警察は8日、デモを鎮圧したと発表した。

 中国共産党は、社会の安定を損なう恐れがあるとして、大規模な運動を取り締まっている他、インターネット上の関連情報も素早く削除するため、こうした大規模デモは極めて珍しい。

 南京師範大学中北学院では、職業技術学院と統合する案が浮上。この案は、厳しい就職活動を前に学位の価値が下がることを懸念した学生らの怒りを買った。

 丹陽(Danyang)市の警察によると、学生らはキャンパスで6日以降、30時間以上にわたり学長を人質にとった。

 ソーシャルメディアに投稿された写真には、学生らに警棒や唐辛子スプレーを使用する警官や、頭から血を流す女子学生の姿が捉えられていた。

 警察は発表で、「学内秩序を守るため(中略)公安警察は法に従って必要な措置を講じ、捕らえられていた学長を解放した。(負傷者は)直ちに病院へ搬送した」と説明した。

 江蘇省の教育当局は7日夜、省内の独立学院5校を対象とした統合案を棚上げにした。しかし、警察によると、南京師範大学中北学院の学生らはデモの中止を拒否した。

 中国版ツイッター(Twitter)の微博(ウェイボー、Weibo)では8日午後までに、「南京師範大学中北学院の学生らが警察の暴力により負傷した」とのハッシュタグを付けた投稿ができなくなり、関連画像はすべて削除された。

 しかし、ツイッターで拡散した動画には、講堂で多数の警官と警備員が学生らを押しのけたり、学生らに向かって怒鳴ったりする様子が映っていた。

 また、別の動画では、校庭でスローガンを叫ぶ学生数千人の周りを警官が囲み、一部の学生を連行していた。

 現場にいた学生の一人はこれらの動画は本物であるとし、当時、学生約3000人と警官約400人がいたと述べた。(c)AFP