【6月5日 AFP】ベラルーシの国営テレビが3日、同国政府が旅客機を強制的に着陸させて拘束した反体制派ジャーナリスト、ロマン・プロタセビッチ(Roman Protasevich)氏(26)が涙ながらに語るインタビューを放映した。欧州各国は4日、プロタセビッチ氏は発言を「強要された」と強く非難。プロタセビッチ氏の父親は、インタビューでの発言は拷問などを受けた結果だと述べた。

 プロタセビッチ氏は5月23日、ギリシャ・アテネからリトアニア・ビリニュスへ向かっていたアイルランドの航空会社ライアンエア(Ryanair)の航空機に搭乗していたところ、ベラルーシの戦闘機が同機を緊急着陸させ、交際相手のソフィア・サペガ(Sofia Sapega)氏と共に拘束された。

 メッセージアプリ「テレグラム(Telegram)」上の反体制派チャンネル「ネクスタ(Nexta)」の共同創設者で元編集者のプロタセビッチ氏は大規模な騒乱を組織した罪に問われており、有罪となれば15年の禁錮刑が言い渡される可能性がある。

 国営テレビONTが放映した映像の中でプロタセビッチ氏は、不安げな様子で、昨年に抗議行動を呼びかけたと認め、アレクサンドル・ルカシェンコ(Alexander Lukashenko)大統領を賛美した。

 1時間半にわたるインタビューの最後に、プロタセビッチ氏は泣き始め、手で顔を覆った。

 プロタセビッチ氏の父ドミトリー(Dmitry Protasevich)さんは3日、AFPに対し、この映像は「虐待、拷問、脅迫」の結果だと語った。

「息子のことはよく知っており、あんなことを言うはずがない」とドミトリーさんは話し、政権側によって強要されたものだと述べた。

 プロタセビッチ氏のインタビューについて、ドイツ政府は「恥ずべきこと」だと非難し、英国のドミニク・ラーブ(Dominic Raab)外相は「憂慮すべきだ」とした。

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)の東欧・中央アジア担当ディレクター、マリー・ストラザース(Marie Struthers)氏は、プロタセビッチ氏の手首に「はっきりと見える傷」があったと述べた。(c)AFP/Dario THUBURN