【5月29日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は28日、同国を訪問したベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ(Alexander Lukashenko)大統領と会談した。ベラルーシが欧州の旅客機を強制着陸させたことに対して世界各国から非難が上がる中、プーチン氏は両国の緊密な関係を称賛した。

 ベラルーシは23日、戦闘機を発進させてアイルランドの航空会社ライアンエア(Ryanair)の旅客機を緊急着陸させ、搭乗していた反政権派ジャーナリストを拘束した。これを受けて、ロシア政府がルカシェンコ政権をどこまで支持するのか、会談に注目が集まっていた。

 プーチン氏は、会談が行われた黒海(Black Sea)沿岸のリゾート地ソチ(Sochi)でルカシェンコ氏を温かく迎え、旅客機の強制着陸をめぐり、欧米は「感情をむき出し」にして反発しているとするルカシェンコ氏に同調した。

 ルカシェンコ氏は、欧米諸国がベラルーシの混乱をあおろうとしていると述べた。さらに、昨年8月の大統領選後に広がった自らの政権に対する抗議運動に言及し、「事態を昨年8月の水準に荒立てる試みが行われている」と発言した。

 両首脳は2国間の協力関係の発展をたたえ、プーチン氏はルカシェンコ氏に対し、「われわれは『連邦国家』を構築してきた」と語り掛けた。

 ロシアとベラルーシは、経済・軍事面で結び付きの強化を目指す「連合国家」を形成しているが、ロシア側はより緊密な統合を要求してきた。

 ルカシェンコ氏はこの数年、ロシアと不安定な関係にあり、ロシアが欧米と対立するよう仕向けた一方、同国との完全な統合を否定していた。

 しかし、今回のライアンエア機の強制着陸を受けて、ルカシェンコ氏の選択肢は限られたとみられている。

 昨年8月、激しい論争を巻き起こした大統領選を機にルカシェンコ氏の30年近い支配に対する歴史的な抗議行動が起きて以来、同氏とプーチン氏は定期的に会談を行っている。(c)AFP/Anna SMOLCHENKO