【5月25日 AFP】欧州連合(EU)加盟各国は24日、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ(Alexander Lukashenko)政権が国際線の旅客機を首都ミンスクに強制着陸させ、乗っていた反政権派ジャーナリストを拘束したことに反発し、同国との航空路を断絶することで合意した。

 ルカシェンコ政権は23日、戦闘機1機を発進させ、ギリシャ・アテネからリトアニア・ビリニュスへ向かっていたアイルランドの航空会社ライアンエア(Ryanair)の旅客機をミンスクに緊急着陸させ、国際社会の反発を買った。

 同機にはベラルーシで指名手配され、リトアニアとポーランドを行き来しながら暮らしていた反体制派メディアの創設者ロマン・プロタセビッチ(Roman Protasevich)氏(26)と、交際相手のソフィア・サペガ(Sofia Sapega)氏が搭乗していた。

 ベルギー・ブリュッセルで開催されたEU首脳会議は、2人の解放を求めるとともに、ベラルーシ航空各社によるEU圏上空の飛行を禁止し、加盟各国の航空会社にベラルーシ領空を飛行しないよう求めることで合意した。これを受けて仏航空大手エールフランス(Air France)は、ベラルーシ領空を飛行しないと発表した。

 さらに、ベラルーシに追加制裁を科すことでも合意した。

 先に、ベラルーシの国営放送は拘束後のプロタセビッチ氏の動画を公開していた。同氏は30秒の動画の中で、現在はミンスクの拘置施設にいて、大規模な騒乱を組織したことを「自供」していると述べていた。

 米国のジョー・バイデン(Joe Biden)大統領は、旅客機の強制着陸とプロタセビッチ氏拘束は「国際規範を直接、冒涜(ぼうとく)するものだ」と非難し、動画は「強要されて」作られたように見えると述べた。

 バイデン氏は声明で、「欧州連合が経済制裁などの措置を求めたという知らせを歓迎するとともに、(今回の事態に)しかるべき人物に責任を取らせるための適切な案を作成するよう指示した」と述べた。(c)AFP