【5月25日 AFP】イタリア当局は24日、北部ピエモンテ(Piedmont)州で前日ロープウエーが落下し14人が死亡した事故について、過失致死容疑で捜査を開始した。事故の唯一の生存者である5歳男児は重体だが、回復する見込みだという。

 男児は、一緒にゴンドラに乗っていた両親、曾祖父母、2歳のきょうだいを亡くしている。チッタ・デラ・サルーテ(Citta della Salute)病院の広報担当者はAFPに対し、男児は集中治療室にいると話し、医師らは容体について「慎重ではあるが楽観している」と説明した。

 事故はマッジョーレ(Maggiore)湖に臨む景勝地モッタローネ(Mottarone)山の山頂近くで発生した。死者には9歳男児も含まれている。

 当初は、ケーブルが破損し落下したと報じられていたが、救急隊員や検察を含む複数の当局者は、保安ブレーキが利かなかったことが原因だと話している。

 ロープウエーの始点駅があるストレーザ(Stresa)を訪問したエンリコ・ジョバンニーニ(Enrico Giovannini)インフラ・運輸相は、「この問題にはさまざまな側面があるが、必ず解明してみせる」と述べた。

 ロープウエーのメンテナンス請負会社ライトナー(Leitner)は、最後にブレーキシステムの検査を行ったのは今月3日だと説明している。また、昨年12月に実施されたケーブルの破損や緊急ブレーキの作動など緊急事態を想定した検査では問題なかったと強調した。

 イタリアでロープウエーでの死亡事故が起きたのは、1998年に低空飛行していた米軍の戦闘機がスキー場のロープウエーのケーブルを切断し、20人が死亡して以来となる。

 ロープウエーは、新型コロナウイルスの感染拡大防止策で休止していた運行を再開したばかりだった。(c)AFP/Franceso Gilioli with Alexandria Sage in Rome