【11月3日 AFP】オランダ・ロッテルダム(Rotterdam)近郊で2日、地下鉄の電車が車止めを突き破って脱線したものの、クジラの尾の彫刻の上に乗り上げ、下の水面に落ちずに惨事を逃れる出来事があった。

 事故はロッテルダム近郊のスパイケニッセ(Spijkenisse)で午前0時過ぎに発生。先頭車両は2つある巨大なクジラの尾の彫刻のうちの一つに乗り上げ、水面から10メートル上に突き出た形で停止し、唯一乗車していた運転士にけがはなかった。

 地元ラインモント(Rijnmond)地域の安全当局関係者はAFPに対し、「クジラの尾のおかげで運転士が本当に救われた。信じられないことだ」と語った。同関係者はこの彫刻が「クジラの尾に救われる」と呼ばれていると説明したが、彫刻を手掛けた建築家のマールテン・ストルイス(Maarten Struijs)氏は後に、作品名は「クジラの尾」であり、今回の事故を受けて地元住民によって非公式に改名されたと説明した。

 安全当局によると、運転士は事情聴取のために身柄を拘束された。現在、事故原因の調査が行われている。

 この彫刻は約20年前、地上部分を走る地下鉄の高架線路下にある公園に設置された。大きなクジラの尾2つが水面から突き出したデザインで、作品名は線路の末尾部にあることにちなんでつけられた。

 ストルイス氏はAFPに対し、作品は「地下鉄を救うために作られたわけではない」と説明。車両の重みに耐えられたことに感銘を受けたと語った。(c)AFP