■試合後

 ジョコビッチは試合後の会見で「自分が試合をコントロールしていたと思う」と発言し、その場を驚かせた。また、「いいプレーができていたと思う。全ては自分次第だった。背中の痛みはあっても、互角に戦っていたと考えている」と話し、「きょうは自分が勝てた可能性もあった。彼は無敵ではない」と言い放った。

 このジョコビッチ流の総括にかなり困惑させられたナダルは、相手が試合をコントロールしていたというのは正しいと思うか聞かれると、自分が確実に理解できるように質問をスペイン語に訳してほしいと要求。それから、「ああ、そうだね。彼がそう思うならそれでいい。自分が答える必要はない」と笑いながら返した。

 米スポーツ専門チャンネルESPNで解説を務めていた元選手のブラッド・ギルバート(Brad Gilbert)氏も、ジョコビッチの発言には仰天した様子で、「ノバク、君には気付け薬が必要かな?」と話し、「ラファを挑発したら、次に対戦するときにはボコボコにされるだろう。試合はヘビー級対ミドル級だった」と指摘した。

 実際ギルバート氏の見解は正しく、その後クレーコートではナダルが初対決から9連勝を記録。ジョコビッチが同サーフェスで初めてナダルに勝利するには、2011年のマドリード・オープン(Mutua Madrid Open 2011)までかかった。

 結局ナダルはこの年の全仏を制すと、2007年と2008年にも連覇を達成。その後も2010年、2011年、2012年、2013年、2014年、2017年、2018年、2019年、2020年にトロフィーを掲げ、これまでに計13度の全仏制覇を経験。グランドスラムのタイトル数も20まで伸ばしている。

 一方、ジョコビッチは2012年、2014年、2020年の3度にわたってローラン・ギャロスの決勝でナダルに敗れているが、2016年には自身初にして唯一の全仏制覇を達成。2015年大会の準々決勝ではナダルを撃破し、全仏で同選手に黒星を付けた2選手のうちの一人であることが現在も慰めとなっている。

 なお、これまで両者の直接対決では、ジョコビッチが通算29勝28敗でリードしている。(c)AFP