【5月18日 AFP】国際エネルギー機関(IEA)は18日に発表した特別報告書で、2050年までに世界の温室効果ガス排出量を実質ゼロにし、産業革命からの気温上昇を1.5度以内に抑えることを目指すなら、化石燃料事業への新規投資をすべて停止する必要があると提言した。

 報告書は、英スコットランド・グラスゴーで11月に開かれる国連(UN)気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)を視野に公表された。この中でIEAは、今後30年間で「化石燃料の需要は急減する」とし、2040年までに全世界のエネルギー部門で温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を実現する必要があると訴えた。

 報告書では、2050年までのカーボンニュートラル実現に向けた行程表が示され、400以上の段階が設定された。21年時点ですでに決まっている事業以外の「新たな油田やガス田の開発は一切承認しない」ことや、35年までにガソリンエンジン車の新車販売をやめることなどが挙げられている。

 IEAのファティ・ビロル(Fatih Birol)事務局長は、気候変動に立ち向かい地球温暖化を1.5度以内に抑えるには、2050年までのカーボンニュートラル実現が肝要との見方を示し、「この重大かつ困難な目標達成に求められる努力の規模やスピードを考えれば、これは人類が直面した史上最大の課題かもしれない」と指摘した。

 気候・エネルギー専門シンクタンク「エンバー(Ember)」のデーブ・ジョーンズ(Dave Jones)氏は、今回の分析は「5年前は化石燃料が主流だったIEAにとって180度の方向転換」だとコメント。「化石燃料業界にまさにメスを入れるものだ」と述べた。(c)AFP/Patrick GALEY