【5月14日 AFP】国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は13日、3月にモザンビーク北部沿岸の町パルマ(Palma)がイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」系武装勢力に襲撃された際の救出作戦で、白人が優遇されたとする報告書を発表した。

 IS系武力勢力は3月24日、パルマを襲撃。約200人が海辺にあるアマルラ・パルマ・ホテル(Amarula Palma Hotel)に避難した。その大半が公務員や、近くのガス施設開発に携わっていた外国人だった。

 アムネスティによると、ホテルに避難した人のうち、約20人が白人の請負業者だった。

 黒人11人の証言をまとめた報告書は、民間人が避難していたホテルでは、犬さえも黒人より先に救助のヘリコプターに乗せてもらえたと批判している。

 アムネスティは「白人の請負業者らは地元の民間人の黒人よりも先にヘリで運ばれた」と指摘した。また、ホテルの支配人は、黒人がまだ残っているにもかかわらず、飼い犬のジャーマンシェパード2匹と共にヘリに乗り込んだという。

 政府の武装勢力掃討作戦を支援するため雇われ、ホテルでの救出作成にも携わった南アフリカの民間軍事企業ダイク・アドバイザリー・グループ(Dyck Advisory Group)は、アムネスティの主張を否定している。

 同社の創業者リオネル・ダイク(Lionel Dyck)氏はAFPに対し、アムネスティの主張は「全く正確ではない」とし、後で公式な発表を行うと述べた。

 アムネスティのアフリカ東部・南部地域の責任者、デプロス・ムチェナ(Deprose Muchena)氏は「救出計画が人種差別に基づいていたという憂慮すべき報告だ」と述べた。

 ムチェナ氏は「武装勢力の襲撃中に、肌の色を理由に人々を見捨てるのは人種差別であり、民間人保護の義務に反する」と続けた。また、ホテルの支配人が「人の代わりに犬を救う選択をしたことに非常にショックを受けている」と述べた。(c)AFP