【5月6日 AFP】東京五輪マラソンのテスト大会が5日、新型コロナウイルスの感染拡大が続き五輪への反感が高まる中、厳戒態勢の札幌で開催され、大会スタッフは沿道で観戦自粛を呼びかけた。

 所々に散見された観客はマスクを着用して拍手を送ったが、飛沫(ひまつ)の拡散につながるため大声を上げることはなかった。ハーフマラソンの大会では、男子はヒラリー・キプコエチ(Hillary Kipkoech、ケニア)が1時間46秒で、女子は一山麻緒(Mao Ichiyama)が1時間8分28秒で優勝した。

 大会は静まり返った札幌で開催され、スタッフは「観戦自粛をお願いします」と書かれたプラカードを首から下げていた。地元住民が感染拡大の懸念を示すなど、テスト大会の開催は不安をあおった。

 ワールドアスレティックス(World Athletics、世界陸連)のセバスチャン・コー(Sebastian Coe)会長は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)下で五輪を開催することへの、日本の「緊張感」に理解を示した。

「この緊張感を非常に重く受け止めている」と報道陣に話したコー会長は、「われわれには十分に試行を重ねた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のプロトコルがあり、私はけさ、それをここで目にすることができた。地元コミュニティーの健康と幸福を非常に重く見ている」と続けた。

 2012年のロンドン五輪大会組織委員会の会長を務めたコー会長は「世界が新型コロナウイルス感染症、そしてパンデミックから脱却を考えるとき、楽観的な見方ができることが非常に重要だった」と話した。  

 また、同会長は札幌が最後はマラソンの開催を歓迎するだろうと話した。「冬季五輪に加えて夏季五輪の競技も開催した市に住んでいると声に出して言える歴史的なことに、札幌の人たちが誇りを持ってくれると確信している」 (c)AFP