【5月6日 AFP】英ロンドンで約2年ぶりに対面で開かれた先進7か国(G7)外相会議が5日、閉幕した。G7外相は共同声明で、中国の人権侵害と民主派締め付けを非難するとともに、ロシアのウクライナに対する敵対行為に懸念を表明。イラン政府に対しては、同国で恣意(しい)的に収監されている外国籍・二重国籍保持者の解放を求めた。

 共同声明では、存在感を増す中国を最も強く批判し、同国に対して国際法と国内法を順守するよう要求。新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)やチベット(Tibet)自治区でのウイグル人らイスラム系少数民族に対する人権侵害に「深い懸念」を表明するとともに、香港の権利活動家に対する締め付けをやめるよう求めた。

 ただ、中国との将来の協力には前向きな姿勢を示し、「われわれは地域・世界の平和、安全、繁栄を促進するため中国と協力する機会を求めている」とした。

 ロシアに対しては、対ウクライナ国境に軍を集結させた「無責任かつ安定を損なう行動」や、「悪意あるサイバー活動」、偽情報の流布、悪意ある情報活動を非難。「ルールに基づく国際秩序を脅かすロシアの行動に対処し、これを抑止するため、われわれとパートナー国の集団的能力の増強を続ける」と表明した。

 ミャンマーで民主的に選出されたアウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)国家顧問を拘束した国軍幹部に対し、G7諸国はすでに制裁を科しているが、共同声明では「軍が方針を転換しない場合、さらなる措置を講じる」用意があると警告した。

 共同声明はこのほか、気候変動や、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)からの回復といった、さまざまな課題に言及。新型ウイルスについては、ワクチンの確実で公正な分配を目指す国際的枠組み「コバックス(COVAX)」に対する財政支援を誓約したが、新たな資金拠出についての発表はなかった。(c)AFP