【5月1日 AFP】ブラジル・アマゾン(Amazon)熱帯雨林による過去10年間の二酸化炭素(CO2)排出量は、吸収量を20%近く上回ったとする研究論文が4月29日、英科学誌ネイチャー・クライメート・チェンジ(Nature Climate Change)に発表された。人類がもはや、炭素削減を世界最大の熱帯雨林にも頼れないことが示された。

 研究チームは、ブラジルのアマゾン川流域で森林の成長に伴い吸収・貯留されたCO2量と、森林伐採や火災、野焼きなどにより大気中に放出されたCO2量を分析。2010年から2019年までの間に排出されたCO2は166億トンに上った一方、吸収量は139億トンにとどまったと結論した。

 論文を共同執筆したフランス国立農学研究所(INRA)のジャンピエール・ウィニュロン(Jean-Pierre Wigneron)氏は「半ば予想していたが、ブラジルのアマゾンで(排出量と吸収量が)反転し、現在は排出が上回ることが数字で示されたのは初めてだ」と説明した。

 論文によると、火災や開墾による森林破壊の面積は2017、18年にはいずれも100万ヘクタールだったが、2019年には4倍近く増加し、オランダの国土面積に相当する390万ヘクタールまで拡大した。INRAは、ブラジルでは2019年のジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)政権発足後に環境保護策が大幅に削減されたと指摘している。(c)AFP