■「大きな責任」

 五輪は戦時中以外に大会が中止されたことはなく、組織委はこれ以上の延期や中止の可能性はないと明言している。

 国民の信頼を得るべく、選手に毎日の検査を義務付けたり、移動を制限したりするなど、ルールブックも発表した。しかしながら海外からの選手は14日間の待機を免除され、ワクチン接種も義務付けられてはいない。

 橋本会長は、ルールは今後も継続して改善していくとした上で「これだったら安心安全であらゆる経済活動がしていけるんだと、示していく大変大きな責任も担わせていただいていると思う。それを明確に示しながら、開催に向けて準備をしていきたい」と述べた。

 昨年、延期が発表された際に政府は「ウイルスに打ち勝った人類の証し」として、大会を開催することができるとしていた。

 しかし、パンデミック(世界的な大流行)がいまだに続いている中、橋本会長は希望と団結に重点を置くべきだと考えている。

「これから先、あらゆる困難な状況に陥ったとしても、人類として、あるいはそれぞれの国として、しっかりとした方向性を団結することで見いだしていくことができるんだという、そういった一体感を示していくときが今回なんではないかととらえている」

 日本は他国に比べて感染者数が少なく、海外のようなロックダウン(都市封鎖)は実施されていないものの、死者は1万人ほどとなっている。しかし、最近の感染者急増によりテストイベントや予選は変更を余儀なくされ、いくつかの地域では聖火リレーを公道で行わないなど、五輪の準備に大きな混乱を来している。

 橋本会長によれば、組織委は状況が変化し続けていることを理解し、必要に応じて適合するためのシミュレーションを行っているという。

「組織委員会としては中止しないために、どうできるか準備してきている」

 五輪関係者は、パンデミックや世論の反対があるものの、大会開催への決意を表明しており、橋本会長も「大会をやってよかったと、やってくれてよかったと多くの人に思ってもらえるような大会を準備するというのが大きな課題、目標です」と述べる。