【4月24日 AFP】国際オリンピック委員会(IOC)のヘイリー・ウィッケンハイザー(Hayley Wickenheiser)委員(カナダ)は、東京五輪の開催可否を決めるのは、選手でもIOCでもなく、医療専門家であるべきだと主張した。

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 6回の五輪出場歴があり、アイスホッケーで金メダルを4回獲得、2000年のシドニー大会にはソフトボール選手として出場したウィッケンハイザー氏は、CBSスポーツ(CBS Sports)に対し、今年7~8月に予定されている東京五輪を開催するかどうかは、安全性と公衆衛生に基づいて決定すべきだという考えを示した。

 同氏は、CBCのウェブサイトへの投稿で、この決定は、大企業などではなく、医療や保健の専門家が下すべきだとした上で、「五輪が開催される場合は、非常に明確で透明性のある説明が必要だ」と述べた。

 来週医学部を卒業する予定のウィッケンハイザー氏は、東京五輪のために多額の資金が注ぎ込まれ、大変な準備や練習が行われてきたことを理解しており、「(東京五輪が開催に)値するかどうかを決めるには、それほど投資していない外部の誰かが必要だろう」と指摘した。

 同氏はテレビの放送契約やスポンサーのボーナスではなく、公共の安全が重要な判断基準になることを望んでいる。

 カナダのカルガリー(Calgary)で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者のケアに携わってきたウィッケンハイザー氏は、「この1年に私が見てきた出来事の後で、五輪について考えるのは非常に難しい」と述べた。「私は大変な苦しみを目にしてきた」

 出場のチャンスをつかもうと何年も練習してきた五輪がパンデミック(世界的な大流行)の時期に当たってしまった選手たちには同情している。「中止になろうが開催されようが、そこに勝者はいない」とウィッケンハイザー氏。「どこも厳しい状況にある」 (c)AFP