【4月30日 AFP】イスラエル北部メロン(Meron)で行われたユダヤ教の宗教行事で30日、多数の信者が折り重なるように倒れる事故があり、少なくとも44人が死亡した。救助隊は、混乱する群衆をかき分けて負傷者の搬送に当たった。

 現場では、ユダヤ教の祝祭「ラグ・バオメル(Lag BaOmer)」が行われ、超正統派らが参加していた。昨年は新型コロナウイルス対策で中止となったが、今年はワクチン接種の成功によって進む規制緩和を祝うものとなるはずだった。

 イスラエルは、全人口930万人の半数以上がワクチン接種を完了したが、感染拡大を防ぐため、大規模な集会には引き続き制限を課している。

 ラグ・バオメルは新型ウイルスの流行が始まって以来最大の集会。当局は、参加人数上限を1万人に設定していたが、主催者によると、バス650台以上で全国から3万人が集まったという。さらに、警察官約5000人が警備に当たっていた。

 当初の報道では、スタジアムの客席の一部が崩落したことがきっかけとされていたが、救助隊員らはその後、大勢が殺到し、折り重なるように倒れたことが原因だと述べた。

 イスラエルの救助活動組織「マゲン・ダビド・アドム(ダビデの赤い盾、Magen David Adom)」の広報はAFPに対し、「現場で38人の死亡が確認され、さらに大勢が病院に搬送された」と述べた。

 ベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は、事故を「大惨事」と呼び、「負傷者らの回復を祈る」と述べた。

 ボランティア救護団体「ユナイテッド・ハッツァラー(United Hatzalah)」のラザール・ハイマン(Lazar Hyman)さんは「これまでで最大級の悲劇」だと語った。

 同団体で初期対応に当たったイェフーダ・ゴットリープ(Yehuda Gottleib)さんは、「数十人が折り重なるように倒れている」のを見たと語った。(c)AFP