【4月29日 AFP】タイの内閣は27日、新型コロナウイルス感染拡大を食い止めるための措置として、プラユット・チャンオーチャー(Prayut Chan-O-Cha)首相の権限を大幅に拡大する法案を承認した。ただ、政府が反対意見を抑え込む政治的手段として利用する恐れが指摘されている。

 タイでは首都バンコクの歓楽街で集団感染が発生したのをきっかけに、感染者が3万2000人以上急増し、感染第3波の抑え込みに苦戦している。

 マスク着用の義務化や日常の行動規制強化では死者数の増加に歯止めはかからず、プラユット首相の指導力に批判が集まっている。2月末に始まったワクチン接種も、人口比の進捗(しんちょく)状況は近隣諸国より遅れており、接種を済ませたのは120万人にとどまる。

 こうした中、プラユット内閣は複数の閣僚の権限を首相に移管する新法案を承認。武器規制法やコンピューター犯罪法などが新たに首相管轄となった。コンピューター犯罪法は、より広範な監視や検閲の権限を政府に認めると批判され、問題視されている法律だ。

 政府は、今回の措置を受けてプラユット首相は「緊急事態の予防、是正、鎮圧、抑止につながる許可、承認、命令、指揮」が可能になると説明。これらの権限付与は、新型コロナ危機対応を目的としたものだと強調している。(c)AFP