【4月27日 AFP】アフリカ・ジンバブエの野生生物当局は26日、収入を確保するため、ゾウの狩猟権を今年は最多で500頭分販売すると発表した。アフリカゾウの1種は数週間前、絶滅の恐れが最も高い「深刻な危機(CR)」に分類されたばかり。

 ジンバブエ国立公園野生生物管理局の広報担当者はAFPに対し、ゾウの狩猟は4月から10月の雨期に許可されていると述べ、新型コロナウイルスの流行で経済的打撃を受けている今年は、ゾウ狩りからの収入が特に重要だと説明。「最多で500頭のゾウを狩猟する許可を得ており、それで収入を上げる」

 広報担当者によると、ゾウ狩りには追跡係、防衛要員、料理人などの補助要員が必要で、1頭を狩るのに最大1万ドル(約110万円)の費用がかかるが、それを補って余りある稼ぎを得られるという。

 広報担当者は、狩猟許可証の発行は1991年から行われており「騒ぐ必要はない」と述べ、今回の決定を正当化した。

 だが自然保護団体などは、絶滅の恐れが高まっている動物を狩猟することに懸念の声を上げている。

 ゾウの個体数は全体では減っているが、ジンバブエでは過剰気味で、一つの環境下で生息可能な最大値を示す「環境容量」は5万頭とされるのに対し、推計8万4000頭となっている。

 度重なる干ばつで国立公園の資源が枯渇し、ゾウは食料や水を求めて遠方まで移動するようになった。中には人口密集地に進入して作物を荒らしたり、通り掛かった人を殺したりするゾウもいる。(c)AFP