【4月29日 東方新報】中国の若者の間で広まっている電子たばこ。最近は大麻成分を含んだ製品がインターネットで流通している疑いがあり、規制や取り締まりを求める声が高まっている。

 13日夜、南京市(Nanjing)の救急センターに複数の大学生から「めまいがする」「頭が混乱している」と120番(日本の119番)があり、9人の学生が南京医科大学付属病院に搬送された。いずれも応急措置で症状が改善し翌日には退院したが、ある学生が興味本位からインターネットで電子たばこを購入し、みんなで吸っていたことが分かった。

 電子たばこは専用カートリッジ内のリキッド(液体)を加熱して煙霧を発生させ、それを吸入する製品。たばこの葉を電気で加熱して煙を発生させる加熱式たばことは異なる。日本では法律によりニコチンを含むリキッドの販売は禁止されているが、海外ではニコチン入りも販売され、一般のたばこよりニコチン摂取量を減らす効果もあるとされている。

 しかし、中国のネット上では「ハイになる」「快感」などのうたい文句で電子たばこが売られており、その中には大麻の主成分のテトラヒドロカンナビノール(THC)が含まれている疑いがあるという。米国では電子たばこの吸引に絡む急性疾患での死亡者が相次ぎ、その多くが非正規ルートで売られているTHC成分を含むカートリッジを使用していたことが判明している。南京市の大学生らが購入した電子たばこには「TETRA」という表示があり、病院は警察と連絡を取り、成分を詳細に調べている。

 中国疾病予防管理センターの2019年の統計によると、国内で高校生の電子タバコ使用率は3%、中学生は2.7%で、未成年者にも浸透している。

 南京医科大学(Nanjing Medical University)付属病院救急医療部主任医師の邵旦兵(Shao Danbing)さんは「電子たばこは通常のたばこより害が少ないとは限らない」と指摘する。ニコチン入りリキッドを使っていればたばこの依存症になりやすいのは変わらないし、リキッドに合成するメンソールやバニラフレーバーなどの添加物の安全性にも疑問がある。

 中国政府は現在、電子たばこを一般のたばこと同じように販売場所や販売方法を規制することを検討している。(c)東方新報/AFPBB News