【4月25日 東方新報】インターネットで注文した食事や商品の悪口を書いて現金を要求する「プロ悪評家」が中国で問題になっている。警察に逮捕され、有罪判決を受けたグループもあるが、摘発できない事例も多いのが課題となっている。

 ネットを通じて食事のケータリングサービスを営む趙さんはある日突然、「食事にゴキブリの足が入っていた」「牛肉が腐っていた」「卵や野菜が生のままだった」などのレビューをネット上に7件も書き込まれた。その後も悪評は続く中、趙さんのスマートフォンのメッセージアプリ「微信(ウィーチャット、WeChat)」に見知らぬ人からアクセスがあった。店を批判する大量のレビューのスクリーンショットを転送し、「全部で1200件以上ある。削除するにはカネを振り込むしかない」と要求してきた。典型的な「プロの悪評家」の手口だった。

 安徽省(Anhui)合肥市(Hefei)のケーキ店は長年評判が良い店だったが、「注文したケーキに虫が入っていた」とインターネットに悪評を書き込まれ、現金を要求された。警察が捜査したところ、「公益偽物撲滅団」を名乗るグループによる犯行と判明。未成年者や無職の成人らで構成し、オンラインショップの業者に次々と言い掛かりを付け、現金を要求していた。

「プロ悪評家」がターゲットするのは食べ物が多い。注文した弁当に自分で異物を入れたり、写真加工ソフトを使って果物の悪く見える部分だけを合成したりして、「証拠」の写真をつけてレビューを書き込んでいる。レビューの評価が落ちると売り上げが下がる恐れがあるため、数百元(約1662円)の現金なら応じてしまう業者もいる。

 広州市(Guangzhou)の警察が最近摘発したグループ「大豚団」は、専門学校でビッグデータやアプリケーションを学ぶ1年生らを中心に広東省(Guangdong)、江西省(Jiangxi)、河南省(Henan)などの15~25歳の約30人のメンバーが活動していた。彼らは商品のクレームで現金を要求するほか、自分たちのノウハウを教える「学校」をインターネット上に作り、その授業料だけで30万元(約499万円)を稼いでいた。

 昨年11月には広東省で、悪質クレームで現金を要求して恐喝罪に問われた2人の被告が懲役2年と懲役1年の実刑判決を受けるなど、司法の裁きを受けるケースも増えている。

 ただ、重慶工商大学(Chongqing Technology and Business University)の莫遠明(Mo Yuanming)教授は「明らかに悪意のあるレビューをプラットフォーム側が削除することは可能だが、すべてのレビューの識別は困難で、そこに『プロ悪評家』の付け入る隙がある」と指摘。「ビッグデータや人工知能(AI)などの最新技術も導入し、悪質なレビューを暴き出す必要がある」と提言している。(c)東方新報/AFPBB News