【4月23日 AFP】米国が主催し22日に開幕した気候変動サミットで、ジョー・バイデン(Joe Biden)大統領は、米国の温室効果ガス削減率目標を従来の2倍に引き上げると発表した。サミットでは続けて日本やカナダも、史上最悪の気候変動を抑止するための新たな数値目標を表明した。

 バイデン氏はオンライン形式で開催された同サミットで、世界最大の経済大国である米国が2030年までに温室効果ガス排出量を05年比で50〜52%削減すると表明した。

 就任間もないバイデン氏による積極的な環境政策は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)前政権時からは劇的な変化だ。だが今後、トランプ氏のように気候政策に懐疑的な大統領が再び政権の座に就いた場合、この新目標が守られるかどうかには疑問符が付く。

 先週、外国首脳として初めてバイデン大統領と対面で会談し、気候問題を協議した菅義偉(Yoshihide Suga)首相も、今回のサミットで従来の目標を大幅に引き上げ、先進国では世界2位の経済大国である日本の温室効果ガス排出量を30年までに13年比で46%削減すると発表した。

 また、バイデン氏とオンラインでは初の首脳会談を行ったカナダのジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相も、05年比での温室効果ガス削減率をこれまでの30%から引き上げ、40〜45%減とする目標を発表した。

 欧州連合(EU)も今週、独自の積極的な削減目標を公表。英国はサミットの前日、35年までに1990年比で78%削減という、主要国では最も積極的な目標を発表した。

 ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)英首相は、バイデン氏の新目標を「ゲームチェンジャー(状況を一変させるもの)」と呼び、「気候変動との世界的な闘いに革新的な影響を与える」と評価した。

 ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領と中国の習近平(Xi Jinping)国家主席も、米政権との政治的緊張が高まるなかでサミットに参加し、気候変動への取り組みを表明。

 世界最大の温室効果ガス排出国である中国を率いる習氏は、2060年までに排出量を実質ゼロとする「カーボンニュートラル」を達成するという目標を改めて強調。中国は石炭火力発電所を「厳しく管理する」と述べた。

 しかし、環境活動家らは、中国には石炭抑制に向けた即時行動が見られないと批判している。石炭は二酸化炭素や大気汚染物質を多く排出する最も汚れたエネルギー源だが、その存続は鉱業の雇用をめぐり政治的に繊細な問題となっている。(c)AFP