【4月21日 CNS】テレビ広告に比べ、近年流行している私的マーケティングは偽医者や偽専門家の「肥沃(ひよく)な土地」となっている。記者が中国裁判文書網の情報を整理した結果によると、2019年以来、中国国内の裁判所で終審判決した案件のなか、中国最大手のSNSの微信(ウィーチャット、WeChat)を利用して、医学専門家になりすまし、ニセ薬を売ったり、「医療サービス」を提供したり、詐欺罪に問われる事件が計22件にのぼっている。そのうち「偽医者」328人、2万9000人余りが被害を受けた。その被害金額は1億9000万元(約31億6090万円)に及んだことがわかった。

 同サイトが巨大詐欺事件の第二審判決文を公表した。被害金額は600万元(約9980万円)余りに及んだ。広州盛通傳媒有限公司は「許○懐」の創始者だ。裁判所の調査により、「許○懐」は、数名の「販売員」が共有している偽の個人IPだということが分かった。

 太原市(Taiyuan)中級人民裁判所はこの事件を以下の通り認定した。羅容疑者がこのグループの責任者で、彼はグループメンバーたちのためにウィーチャットアカウントを作成し、架空のウィーチャットのニックネーム「許○懐」とアイコンを統一して使用した。専任者がネット上で広告を出して被害者にウィーチャットのアカウントを追加するよう誘導する。その後、丁容疑者ら14人がそれぞれ架空の漢方医の家柄の後継者「許○懐」本人またはその学生の名義で、「トーキングスキル」のテンプレートにより、ウィーチャットなどのツールを使って「問診」し、被害者に「解毒貼付剤」などの薬品効果のない製品を高額で買い付けるよう誘導する。このうち、丁容疑者が関わったものだけでも、2019年5月から10月までの詐欺事実は347件で、被害金額は45万元(約750万円)近くにのぼる。

 記者の統計によれば、22の事件のうち、少なくとも328人が「偽医者」に関与しており、そのうち5組のグループが雇っている「偽医者」は合わせて20人以上もいるという。

 大量の「偽医者」がなぜ「ネット問診」を利用したのか?湖南省(Hunan)岳陽市(Yueyang)中級人民裁判所が作成した刑事裁定書にはその「答え」が書かれている。武漢○○Eコーマス有限会社はもともと振り込み詐欺グループだった。2017年1月、法定代表者の談容疑者は「振り込み詐欺のリスクは大きいと考え、微商(ウィーチャット・ビジネス)経営にモデルチェンジすることにした」という。

 同裁判所はこの事件を以下のように認定した。2017年3月から2018年3月まで、同社は40人の販売員を採用した。被害者がウィーチャットを追加した後、販売員は偽造の医療機関の営業許可証、漢方医の医師免許証を利用し、40人全員が「田氏補腎処方漢方薬の家柄の後継者の田楽楽」の身分で患者とやりとりをした。患者に「腎虚、気血両虚」または「海綿体細胞が損傷を受けた」と称し、1セット1000~4000元(約1万6636円〜6万6546円)で「田氏補腎処方」を販売した。最終的には、これらの偽医者グループは、裁判所に振り込め詐欺グループとして認定された。

 裁判所は、以下の理由により、彼らの詐欺罪を認定した。会社が薬品や食品などの商品を販売しているのを分かっていながら、販売者に医者や専門家を偽り、普通の薬品や食品の効果を故意に誇張し、被害者をミスリードし、これらの商品を販売した。金稼ぎのために、無条件に手配に従い、詐欺のトーキングスキルにより高額商品を被害者に売りつけたことが、詐欺罪の構成要件に合致したという。(c)CNS/JCM/AFPBB News