アフガニスタン撤退が米国に突き付ける新たな難題
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【4月20日 AFP】アフガニスタンに駐留する外国軍を撤退させるというジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領の決定は、米国とその軍隊にとって新たなリスクの到来を意味する。そのリスクとは何か、バイデン政権はいかにそれを軽減したいと考えているのか検証する。
■「撤退」は「治安の真空状態」を意味するか?
米国防省は公式には、米国史上最長の戦争を終わらせる大統領の決定を支持している。しかし高位の軍司令官の多くはここ数か月にわたって懸念を口にしてきた。
米中央軍(US Central Command)のケネス・マッケンジー(Kenneth McKenzie)司令官は最近、AFPに対し、撤退によって過激派集団が復活し、アフガニスタン政府が崩壊の危険にさらされると「信じるに足る理由」があると述べた。
米中央情報局(CIA)のウィリアム・バーンズ(William Burns)長官は14日、撤退すれば「米政府が脅威に集中し、対処する能力が低下する」と述べた。それでも、CIAは「複数の機能」をアフガニスタンで維持すると約束した。
かつてイラクやアフガニスタンで米軍を率いたデービッド・ペトレアス(David Petraeus)元陸軍大将は、米政府は撤退をめぐるレトリック(言葉遣い)には「細心の注意」が必要だと警告した。
「米国が永遠の戦争への関与をやめても、永遠の戦争は終わらない。われわれの関与が終わるだけだ。そして、この戦争が悪化することを私は懸念している」
■撤退期限の表明は危険を招く?
米軍はかねがね、撤退の日付を示すことを危惧していた。旧支配勢力タリバン(Taliban)が、世界最大・最先端の軍隊に勝利したと勢いづき、結果を考えることなく現地の部隊を攻撃する誘惑に駆られるとみていたからだ。
バイデン大統領はこのイスラム原理主義武装組織に対し、そうした企てをしないよう警告。北大西洋条約機構(NATO)も声明で「撤収期間中の連合軍に対するいかなるタリバンの攻撃も、強力な反撃を受けるだろう」と警告した。
加えて連合軍側は、撤収開始を5月1日と言明することには慎重だった。米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)前政権とタリバンとの合意では、この日は撤収が完了するはずの期限だった。
しかし連合軍側は、撤収は9月11日までに完了するとは言っている。この日は米軍のアフガニスタン侵攻のきっかけとなった米同時多発攻撃から20年の節目となる。ジハーディスト(イスラム聖戦主義者)勢力は、米国に勝利した日としてこの日をたたえている。
「選択された撤退の日付は、ジハーディスト側では『十字軍(米国)による(イスラム聖地の)占領』があったという筋書きを引き立てる。これはバイデン政権にとって、避けることができた失敗のように見える」と米シンクタンク、ソウファン・センター(Soufan Center)は分析している。
米政府関係者らは、期限はおおむね象徴的なものだと強調した。ある米高官は「9.11の20周年より後にはならない。それよりずっと前になるかもしれない」と語った。