■撤収のロジスティクスは?

 米軍が最も恐れるのは、首都カブールを急いで去らなければならなくなり、1975年にべトナム戦争(Vietnam War)のサイゴン(Saigon、現ホーチミン〈Ho Chi Minh〉)陥落時に起きた混乱と同じ状況に陥ることである。

 約2500人の米兵に加え、1万6000人の民間請負業者と装備をアフガニスタンから引き揚げる必要がある。さらに約7000人のNATO軍兵士もだ。従って大掛かりかつ繊細なロジスティクス作戦が必要であり、整然とした安全な撤収完了には最低3か月を要すると、ある米軍高官は明かした。

 米国防省は2019年1月にシリアから撤収を開始したときと同様、帰還する軍を守るために一時的に増強部隊を派遣する可能性もある。

 ロイド・オースティン(Lloyd Austin)米国防長官は、司令官らが退去に、それも明確な期限付きの退去に気乗りしていないことを遠回しに認めた。

 NATO本部のあるブリュッセルで同長官は「私は彼らの代弁はしない。言えることは、これは包括的なプロセスであり、大統領は決定を下した際に彼らの声を聞き、彼らの懸念事項を考慮したということだ」と述べた。

■米国の信頼性は?

 20年の戦闘の末、アフガニスタン戦争は良く見ても行き詰まりで、タリバンが勢いを盛り返している。タリバンなど米国の敵にとって、今回の米軍撤退を超大国に対する勝利として際立たせることは容易だ。米野党・共和党がこれを見過ごすわけがない。

 多くの共和党員は、撤収が米国の世界的な影響力や信頼性へもたらすインパクトについて、声を荒らげて発言している。

 下院共和党ナンバー3のリズ・チェイニー(Liz Cheney)議員は「9月11日までに撤退することは、20年前のその日、われわれの国土を攻撃したジハーディストたちそのものを勇気づけることになる」と抗議した。

 共和党のミッチ・マコネル(Mitch McConnell)上院院内総務は議場でこう述べた。「これは、まだ打ち負かしていない敵の目前から退却することであり、米国のリーダーシップの放棄だ」 (c)AFP/Sylvie LANTEAUME