■統一の象徴

 10世紀を舞台とするこの物語は、バイキングの人質となった少年の話だ。この中に登場するデンマーク王、ハーラル1世(ハーラル・ゴームソン、Harald Gormsson)の異名がカーダック氏の興味を引いた。

 ハーラル1世は北欧の重要な歴史的人物だが、そのニックネーム「青歯王」は、死んでしまった歯の色を指すと言われている。一方、ブルーベリーが大好物だったことで付いたとか、単なる翻訳ミスだという説もある。

 ハーラル1世の時代に、デンマークは古来の多神教や北欧の神々に背を向けて、徐々にキリスト教に改宗していった。

 だが、この王が最もよく知られているのは、ノルウェーとデンマークを統一させたことだ。この統合は1814年まで続いた。

 この物語こそ、短距離無線通信を通じてパソコンと携帯業界の統合を目指す者にとって、あやかりたいものだった。

 一方、一見すると幾何学模様のようでしかないブルートゥースのロゴは、ハーラル1世のイニシャル「H」とブルートゥースの「B」を古代ルーン文字に置き換え、組み合わせたものだ。

 低コストと低電力消費を掲げて1998年5月に販売開始されたブルートゥースは、近距離にあるコンピューター関連機器をケーブルなしで接続する。

 この技術を搭載した消費者向け機器が初登場した1999年当初、名称はいずれ変更されるはずだったが、今や不動の地位を得ている。(c)AFP/Helene DAUSCHY