【4月28日 AFP】新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)を、スマートフォンのアプリで封じ込めることは可能だろうか? ロックダウン(都市封鎖)を解除し、世界経済再起動への道を開くカギとなるかもしれないスマートフォン技術に今、関心が高まっている。

 デジタル技術による「接触追跡」は、ユーザーが感染者に接近した場合にそれを携帯電話システムで記録し、必要に応じて警告を通知することが可能だ。

 世界中の研究者らと保健機関がこのソリューションに可能性を見いだし、研究活動を強化している。米グーグル(Google)と米アップル(Apple)が先ごろ発表した接触追跡システムの共同開発は、さらにこの動きを後押しするかもしれない。

 接触追跡について、よく聞かれる疑問と答えをまとめた。 

■接触追跡とは?

 スマートフォンによる接触追跡は、ブルートゥース(Bluetooth)のワイヤレス信号を使用して、特定のユーザーが感染者と接触したかどうかを判断する。

 ユーザーは専用アプリをダウンロード。ウイルスに感染した場合に、自分の感染状況を更新する。これにより、感染者や後に感染が確認された人と濃厚接触があった人々には「警告」が送られ、感染リスクのある人は自主隔離を行うなどの対応策をとることができる。

 さらにグーグルとアップルの共同開発によって、二大携帯システムをまたいでこのアプリを使用することが容易になるだろう。両社の技術では、アプリの「デジタルキー」による2週間の接触監視が可能になるという。

■どのように役立つのか?

 研究者らによると、デジタル追跡は多数の人がアプリをダウンロードして症状を報告することで、初めて効果を発揮する。

 英オックスフォード大学(University of Oxford)の研究チームは、こうしたシステムが「感染症の抑制を達成できるのは、十分な数の人々が利用した場合だ」と米科学誌サイエンス(Science)で指摘している。

 接触追跡の研究や実践の取り組みが行われているのは、フランス、ドイツ、英国などだ。米国では今年の大統領選で民主党候補となることが確実視されているジョー・バイデン(Joe Biden)元副大統領が、「米国を安全に再開するための」計画の一環として、検査の拡大などの措置とともに接触追跡を挙げている。