【5月15日 AFP】中国・湖北(Hubei)省の広々とした体育館。中国国旗と五輪マークの下で、小さな男の子2人が鉄棒にぶら下がっていた。離れた場所では、子どもたちが並んで、コーチに見守られながら開脚や倒立をしている。中には4歳児もいる。

 ここは、中国がエリート体操選手を育てる「揺り籠」、李小双体操学校(Li Xiaoshuang Gymnastics School)。武漢(Wuhan)市西方、仙桃(Xiantao)市にある。子どもたちは、中国の国家スポーツ制度で選抜されたばかりだ。厳しいことで知られるこの制度は、多くの批判を浴びているが、中国を有数の五輪大国に押し上げてきた。

 AFPはこの4年間、部外者がめったに入れない中国の体操トレーニングセンター数か所の取材を許され、オリンピックの栄光のために鍛えられる子どもや若い選手たちの生活を記録してきた。

 李小双学校は、おそらく体操で最も有名だが、在籍する子どもたちには通常の勉強も教えている。それでも、中心となるのは午後に大体育館で行うトレーニングだ。

 ストレッチをしている子もいれば、体育用具に向かって倒立する子、つり下げたバケツに両足を入れてあん馬の動きを練習する子もいる。

 夜になると、子どもたちは、寮の二段ベッドで上下2人ずつで寝る。

 練習の厳しさは基本的に変わらないが、同校の担当者らによると、現在の指導の重点は「ハッピーな体操」、つまり子どもの楽しみにあり、昔のようにメダルへのこだわりではないという。厳しい環境に子どもを預けている親たちからの反発が強まり、変化の兆しが見えてきた。

「昔よりはのびのびとやっています。確かに以前は、大会で優勝する選手をたくさん生み出すことを目指していましたが」と、コーチを務める劉芬(Liu Fen)副校長(50)は言う。

「いつまでも昔からの訓練方法で教えようとすると、立ち行きません」と話した。