■莫大な資産から恩恵を受けている軍事政権

 経済的混乱が起きているにもかかわらず、軍事政権は国民からの抗議の声に耳を貸そうとしない。

 軍事政権は今でも、輸送・観光・銀行業など多分野の有力複合企業を支配下に置き、十分な収入に支えられていると国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)が指摘する。これら企業は1990年以来、国軍に数十億ドル(数千億円)を供与しているという。

 米国と英国はこうした企業に制裁を科したが、これらの企業と商取引をしている多くの国から追随する動きは出ていない。

 トウェ・トウェ・テイン教授によれば、国軍は「ヒスイや木材など天然資源を違法に蓄積し、それに支えられた莫大(ばくだい)な非公式な資産」からも恩恵を受けている。さらに、石油や天然ガスも大きな収入源となっている。

 仏エネルギー大手トタル(Total)の決算書によると、同社はミャンマー当局に対し2019年に約2億3000万ドル(約250億円)、2020年に1億7600万ドル(約190億円)を支払っている。これは税金や「生産権」という名目だ。

 今月4日、トタルの最高経営責任者(CEO)は、国軍による「抑圧はもちろん許し難い」として、同国の人権団体への資金援助を約束する一方で、ミャンマーでの天然ガス採掘を継続する意向を示した。

 国際関係研究所のニコラ氏は、こうした資金源を軍事政権に利用させないようにしなければ、デモ参加者や主要国が求める変化は訪れないと指摘した。(c)AFP/Sophie DEVILLER