【4月8日 AFP】(写真追加)米国は7日、中国がフィリピンと台湾への攻勢を強めていることについて、条約に基づく義務に言及して警告した。

 米国務省のネッド・プライス(Ned Price)報道官は記者会見で、「南シナ海(South China Sea)を含む太平洋で、フィリピンの軍、公船、航空機に武力攻撃が行われれば、米比相互防衛条約に基づくわが国の義務が発動される」と述べた。

「われわれは、ウィットサン礁(Whitsun Reef)近海に中国の海上民兵が集結していると継続して報告されていることへの懸念を、フィリピンの同盟諸国と共有している」

 南シナ海に浮かぶパラワン(Palawan)島の西方約320キロに位置するウィットサン礁で3月7日、中国船200隻以上が確認された。その多くは現在、南沙諸島(スプラトリー諸島、Spratly Islands)各地に分散している。

 フィリピンは、排他的経済水域(EEZ)侵犯として、船団の撤退を中国に要求。しかし、資源豊富な南シナ海の大半の領有権を主張する中国は、要求を拒否している。

 7日には、中国軍機15機が台湾の防空識別圏(ADIZ)に侵入し、中台間の緊張も高まった。

 プライス氏は、米国に台湾防衛用の兵器の提供を義務付ける台湾関係法の文言を使い、「米国は、台湾人民の安全、社会、経済を脅かすあらゆる武力行使やその他の強制手段に対抗し得る防衛力を維持する」と述べ、中国の動きに「懸念」を示した。

 米国のジョー・バイデン(Joe Biden)大統領は、多くの点でドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領の方針から転換したが、中国の影響力拡大に抵抗する姿勢は受け継ぎ、同盟諸国を防衛する方針を示している。(c)AFP