【3月29日 AFP】(更新)オーストラリアのスコット・モリソン(Scott Morrison)政権は29日、内閣改造を行い、レイプ問題で批判を浴びていたリンダ・レイノルズ(Linda Reynolds)国防相を行政サービス担当相に、クリスチャン・ポーター(Christian Porter)司法長官を産業・科学技術相に異動させた。いずれも閣僚ポストとしては格下で、降格人事とみられる。

 豪政界はこのところ相次ぐ性的スキャンダルに揺れており、モリソン首相の保守政権は厳格な対応を迫られていた。

 レイノルズ氏は、元政府職員の女性が同氏の執務室で男性の同僚から性的暴行を受けたと告発した問題で、適切な調査を行わず、被害女性を「うそつき女」呼ばわりしたとして非難されていた。

 州検察官出身のポーター氏は、1988年に当時16歳の少女をレイプしたとの疑惑が浮上し批判を受けていた。被害者女性は昨年6月に死亡し、自殺だったと報じられている。ポーター氏は疑惑を否定している。

 両氏は数週間前から休暇で公務を離れていたが、モリソン首相は両氏ともに職務に復帰すると主張していた。

 今回の内閣改造で、モリソン氏は女性の登用拡大を発表。「女性の存在感が豪内閣史上最大になる」と述べた。だが、政府や議会にはびこるいじめやセクシュアルハラスメント、性的暴力を生む職場文化に対する国民の怒りが、この改造人事で静まるかは不透明だ。

 モリソン政権は、レイプ疑惑が表面化してからの数週間で、議員の執務机で自慰をする職員の画像の流出、州議員がセックスワーカーをレイプした疑惑、議員がインターネット上で女性に嫌がらせをしたとして謝罪するなど、相次ぐ性暴力やセクハラの告発に揺れていた。(c)AFP