【3月25日 AFP】米カリフォルニア州オークランド(Oakland)は24日、全米最大規模の「最低所得保障制度(ベーシックインカム)」実証実験を開始すると発表した。有色人種の600世帯を選び、使途を指定せず毎月500ドル(約5万4000円)を支給する。

 同様の試みは全米各地で行われている。オークランドの応募条件は、同市に住所を置き、少なくとも1人の子どもがいる人種的少数派の低所得世帯。在留資格は考慮しない。応募者の中から無作為に対象者を選定する。

 オークランドのリビー・シャーフ(Libby Schaaf)市長は24日、米CBSに対し、「有色人種の世帯に焦点を当てている。オークランドでは人種間の貧富の格差が非常に大きいためだ。所得の中央値で比較すると、白人は黒人の3倍だ」と語った。

 ベーシックインカムは夏までに開始し、1年半続ける。資金は民間からの寄付でまかなわれる。給付金は非課税で、使途に制限はない。

 給付金で酒やたばこなどを購入したり、労働意欲がそがれたりする恐れがあるとして、ベーシックインカムに反対する意見もある。

 しかしシャーフ市長は、同州ストックトン(Stockton)で行われ、125世帯に毎月500ドルを給付した同様の実証実験を引き合いに出し、対象者の間でフルタイムの雇用が増加したと指摘した。

 給付金のほとんどは食料品、ガス、電気、車関連に使われ、参加者の不安やうつを示す指標が低下したと報告されているという。

 シャーフ市長は、「人々はお金を必要としている。これ(ベーシックインカム)が貧困を脱却する最良の方法だ」と述べた。「貧困は個人の失敗ではない。政策の失敗だ」 (c)AFP