【3月20日 AFP】米大統領就任から2か月を迎え、ジョー・バイデン(Joe Biden)氏が自身の外交姿勢を示し始めた。ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領に対しては「殺人者」との認識を示し、政権にとって初の中国との外交トップ会談では国務長官らが同国を厳しく非難するなど、中ロ両政府に手加減のない態度で臨んでいる。

 米シンクタンク・ブルッキングス研究所(Brookings Institution)の上級研究員トーマス・ライト(Thomas Wright)氏は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領が「独裁者タイプの指導者を好み、称賛した」のに対し、ベテラン民主党員のバイデン氏率いる現政権は「独裁主義の広がりを懸念し、そうした動きをはね返すため、民主主義国同士で連携を強める必要があると考えている」との見方を示した。

 専門家の間では、ツイッター(Twitter)への投稿で政治を動かすことを好んだトランプ氏に比べると、上院外交委員会の委員長や副大統領を歴任したバイデン氏は従来型の外交アプローチを取るだろうとの見方が強かった。

 だがこれまでのところ、特にここ数日で注目を集めているのは、バイデン氏の強気な姿勢だ。

 米ABCニュース(ABC News)のインタビューでバイデン氏は、プーチン大統領が「殺人者」だと思うかと問われ、ためらうことなく肯定。この発言について側近らは、バイデン氏は後悔していないと主張した。

 プーチン氏や中国の習近平(Xi Jinping)国家主席について、バイデン氏が少々強気の面を見せたのはこれが初めてではない。2月には中ロにおける「独裁主義の進展」に懸念を示したほか、プーチン氏に対しては「大統領選への介入やサイバー攻撃、国民への毒物投与など、ロシアの攻撃的な行為に米国が屈する時代は終わったことを、前任者とは全く異なる方法で」はっきり伝えたと述べている。

 また、習氏については民主主義という考えを持ち合わせていないとの認識を示し、同氏との電話会談後には、米国が中国の政策について先手を打たなければ「われわれの利益を奪われてしまう」と警告した。

 こうした発言は、したい放題だったトランプ氏のやり方に似ていると思えるかもしれないが、文脈は異なっている。

「トランプ氏は同盟国との間により大きな問題を抱えており、敵対国より同盟国に腹を立てていた」とライト氏は指摘する。

 一方、バイデン氏の高圧的な発言は、独裁主義と闘い、米国の価値観や人権に関する考えを守りたいという自身の願いと合致している。